今もっとも勢いのある製作家、ロレンツォ・カッシの新作バイオリン
Luca Cassi ロレンツォ・カッシ (1974-)
Lorenzo CASSI(ロレンツォ・カッシ)は1974年6月6日にPiacenza(ピアチェンツァ)県ボルゴノーヴォ ヴァル・テイドーネで誕生しました。クレモナ製作学校時代にはVincenzo BISSOLOTTI氏に師事し、クレモナの伝統的な技術を習得します。内型を使って楽器を製作するストラド時代のスタイルを今もなお忠実に引継いでいます。クレモナ製作学校を首席で卒業後はFrancesco BISSOLOTTI氏の工房に4年間在籍し、2001年にはKathrin夫人と共にクレモナ中心街に工房をオープンしますが、2010年には彼が育ったピアネッロ・ヴァル・ティドーネに戻りました。現在はG.B.GUADAGNINIの生誕地の近く、豊かな自然の中で精緻な仕事をしています。
ストラデヴァリ研究のSACCONI、F.BISSOLOTTIの緻密な作風をさらに進め極めたのがL.CASSIです。L.CASSIの作品は人間の手でこれほど精密にかつ美しく作れるものなのかと驚愕します。その完成度の高さはプロの演奏家からも高く評価されています。L.CASSI自身は清廉な性格でとても知的で優しい人物で、その人物像や製作楽器のレベルの高さから今や21世紀を代表する作家となりつつあります。
ギャラリー
Stradivarius1705をモデルとした2023年の新作は、新作でありながらも豊かな音量と若干の柔らかさがありつつもはっきりとした輪郭が特徴の1挺です。低弦から高弦まで太くしっかりと鳴り、新作でありながらもオールドを思わせる部分も感じる、艶のある絹のような美しい音色です。故F.Bissolotti氏の作風をより発展させたかのような感触です。
1番線は音が連続した点ではなく伸びのある1本の音として鳴り、残響も強く非常に華やかです。低弦も詰まる感じは全くなく、しっかりとした厚みの迫力のある音色が楽しめます。新作でここまで太い低弦が出せる作家は早々居ないでしょう。
また、見た目も隙が全くありません。内枠型の製作方式は故F.Bissolotti氏の弟子である紛れもない証拠。エッジは鋭く楽器が風景から浮き出すような感覚さえあります。スクロールも切り立った崖のように深く、きっちりと左右対称に整えられています。ニスはイタリアンの中では比較的落ち着いた茶の強い色味で上品にまとめられています。フィッティングはもちろん最高級のBogaro&Crementeです。
この機会にぜひご来店、ご試奏ください。
LorenzoCASSI氏は昨年12月に渋谷本店、大阪梅田店でイベントを行っていただくなど非常に紳士的、穏やかで優しく、180cmを超える長身にスラっとした体つきはモデルのようで、非常にオーラのある方です。過去の弦楽器製作家招聘イベントではオーナー限定の製作家本人による点検・調整会も開催しております。昨年のイベントレポートは以下からご覧いただけます。