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コラム

店長青木の初めてのビオラ選び【大阪梅田店】

~ビオラの購入などでお悩みの皆様へ~

ビオラはバイオリンとチェロの中間に位置し(サイズ的にはバイオリン寄り)、バイオリンのような高音とチェロのような低音、独特な渋い音色を持つ楽器です。オーケストラ・弦楽合奏では中音域を担当し、高音と低音の橋渡し、結び付けを行う、なくてはならない存在です。もちろんビオラソロ曲もございます。ビオラの素朴な存在感やいぶし銀な音色に憧れて始められる方がおおくいらっしゃいます。

そんな「ビオラを始める方」・「すでにビオラを担当しておりそろそろ自分のビオラを持とうかな?」などビオラ選びをお考え・お悩み中の方へ青木なりのビオラ選びのポイントをご紹介させて頂きます。ビオラ選びの参考になれば幸いです。

ポイント1:予算

『選ぶ前から予算と言われても、、、、』確かにその通りです。
それぞれのポイントをお読みいただいたあとにご予算のイメージを持っていただければ大丈夫です。※ある程度予算イメージをお持ち頂ければ「上を見たらきりがない/(選べない)」状態を避ける事が出来ます。

まだ予算が決まっていないお客様に向けて私がはじめにご紹介している金額帯は「本体、弓、ケースの3点セット(ビオラを始めるにまず必要な3点)の合計でおおよそ20万円~30万円程度」です。10万円代のビオラもありすが、それよりもワンステップ上の20万円~30万円くらいまでのセットまでを私はエントリーモデルと位置付けております。製作精度、1台の楽器をより長くご愛用いただくことを踏まえまずはこの価格帯をおすすめしております。
この価格が絶対の基準ではございません。お客様のニーズも十人十色であり、「初めてだからこそより良い楽器を使いたい」「長続きするから不安だし、使い慣れるまで購入しやすい価格帯のビオラを使いたい」など様々です。

ポイント2:サイズ※ビオラの場合、サイズが予算より先行することもございます。

バイオリンと間違われてしまうことも多いビオラですが、より低音を鳴らす楽器の為、バイオリンよりも大きなサイズとなります。現在バイオリンのボディサイズは355mmが一般的です。対してビオラは380mm程度から大きいものですと450mm程度とサイズもまちまちです。
エントリーモデルのビオラの場合、395mmと405mmの2サイズが主流となります。

ビオラ選びはこのサイズ選びが必須になります。

一般的に、
小さいサイズ395mm:小ぶりな為、明るくクリアな音色。大きいサイズと比べ指回りが良く操作性が良い。
大きいサイズ405mm:ボディが大きく力強い音量や重厚な音が得やすい。

どちらのサイズにもメリット・デメリットがありますが、音量・音色にポイント当てると、ビオラは大きいサイズが好まれる傾向が強いです。同一楽器の異なるサイズの比較であれば、大きいサイズの方が音量は大きく音色もよりビオラらしい低音が豊かな音色となります。実際の楽器選びでお大きなサイズで操作性に問題がなければ大きいサイズをお勧めしております。
小さなサイズを選ばれる理由の例として、
①大きいサイズだと構えるのが大変。(弾くのが大変)
②バイオリンとの持ち替え(単発でビオラを担当する場合、メインで弾いているバイオリンと違和感がより少ないサイズを選ぶ)※小さいサイズは弦長がより短く左指を伸ばす間隔が大きいサイズと比べ狭くなる。それでもバイオリンに比べるとより広く広げなければなりませんが、、、
などなど
※弦長とは:上ナット(指板上部の弦が乗っているまくらの部分)から駒(指板とテールピースの間に立っているパーツ)までの距離。

ポイント3:作り方による違い

ビオラにも量産品(半手工品)と手工品というものがございます。量産品は分業による製造や製作工程の一部を機械化するなどによりコストを下げられるためお求めやすく、手工品は1本1本にこだわりを持ち時間をかけて製作されるため価格も高額になります。※ここでは便宜上、個人製作家が全行程手作りをした作品を手工品としております。
エントリーモデルのビオラは基本的に量産品となります。
ひとえに量産品と言っても、製作の大部分に高性能な機械を使用し安定した品質の楽器を生産するメーカーや、粗削り以降の作業を手作業で行うメーカー、熟練の職人たちによる分業製造など製作方法は様々です。
新品・新作の場合、量産品と手工品の変わり目はおおよそ100万円程度となります。

ポイント4:生産国

様々な国から大量の楽器が日本に輸出されております。
弦楽器の代表的な生産国は、イタリア・フランス・ドイツ・東欧諸国・アメリカ・日本・中国などです。もちろんこの他にもございます。
それぞれ個性豊かな作品が製作されております。

作り方・生産国による価格の分布は下図のようなイメージです。

上記表はあくまで目安となります。例えばドイツ製手工品となれば100万円を超えていきます。
注)フランス製楽器については新作品の流通数が少なく、おおよそ1950年以前の量産品や工房作品、手工品が主となります。

ポイント5:音色の好み

ビオラに限らず楽器選びの際に最も重きを置かれるポイントです。
高音の煌びやかさが特徴の楽器、チェロのような重厚感ある低音が特徴の楽器、バランスの良い楽器など楽器1台1台にそれぞれの個性があります。
言葉のニュアンスが難しいですが、楽器選びの際は良い・悪いの評価ではなく、好きかどうかの判断をして頂くお話をさせて頂いております。特に初めてビオラを選ばれるお客様の場合、その楽器が良いか悪いかで判断するより、その楽器(音色)が好きかどうかの方が判断がしやすいと思います。
音色に関しては好みに依存することも大きく、例えばAとBの楽器の内、Aの楽器の音が好きな方も逆の意見の方もいらっしゃいます。まずはご自身の好きな音色の傾向を探していくことが近道です。当店では試奏やスタッフによる音出しも可能でございます。好みの音色を見つけるきっかけとしてご利用下さいませ。

ポイント6:外観の好み

優先順位としてはポイント5の「音色の好み」に重点を置くことをおすすめしておりますが、外観(見た目)も気になるポイントです。
フルバーニッシュ・アンティークフィニッシュなどの仕上げの違い、さらにそれぞれに個性ある色味の違いがございます。
◆フルバーニッシュ:ムラなく、艶やかで美しい仕上げ
◆アンティークフィニッシュ:塗装に濃淡を付けたり、あえて傷跡のようなデザインを入れることで新作ながら古い楽器のように仕上げる
色についてもメーカーの仕様・製作家の求めるものにより、様々なカラーがあります。おおざっぱに、
黄色系・オレンジ系・赤系・茶色系などです。
「色による音の違いはありますか?」との質問を受けることがございますが、色の違いのみで音の差はほぼ無いと言えます。
半面、使用しているニスの質(成分)や厚み(ニスの層)は音にも影響が出ます。同じような見た目の楽器でもニスの質や厚みが変われば音に作用する影響も違うということになります。
ただし、ニスについては剥がして別のニスを試すわけにはいきません。張ってある弦や調整による音の方向性などによって最終的な音色が決まりますので、ニス-音色についてはあまり気にしないことをお勧めいたします。

ここまで長文になりましたがポイント6まで説明をさせて頂きました。
この他初めてのビオラ購入であれば、音を出すための「弓」、楽器を保管・保護するための「ケース」が必要となります。
私共の店舗では一般的にまず楽器を決める→次にその本体とお客様に合った弓選び→そしてケース選びといった流れでご紹介をしております。※中には、ひとめぼれしたケースを先行してご購入され、追々楽器と弓を選ばれる方もいらっしゃいます。

ここでご紹介した内容は私なりにポイントをまとめさせていただきましたが、これも一つの意見としてご参考にして頂ければと思います。
ビオラはバイオリンやチェロと比較して情報量が多い楽器ではありません。部活の同級生にビオラがいない、周りにビオラのことを聞ける人がいない、そんな方へ「ビオラってこんな感じなんだ」と少しでも知識の足しになれば幸いです。

今後、このページにて弓選びやケース選び、エントリーモデルのご紹介をさせて頂きます。下記ボタンから大阪梅田店のビオラ在庫状況をご確認いただくことも可能です。

この内容やビオラについてご質問があれば大阪梅田店もしくは青木までお気軽にお問合せくださいませ。